7月23日は朝丘 雪路(あさおか・ ゆきじ)さんが生まれた日。(1935 – 2018)
宝塚歌劇団を退団後に
人気番組『11PM』のアシスタントをつとめて人気を集めた。
女優、舞踊家、歌手、司会者としても活躍した。
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1967年、『11PM』で司会の大橋巨泉が
胸の大きい朝丘を指して「ボイン」と呼び、
その年の流行語になった。
「ボイン」とは、
女性の乳房の容量が大きい様子を表す俗称であり
このことから朝丘雪路は
「巨乳タレント」のはしりとされている。
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1977年、プリンのCMで「デカプリン」という単語が登場して
「ボイン」に代わって「デカパイ」が徐々に浸透していった。
それでも「ボイン」のインパクトは強く
1980年代のアニメ「まいっちんぐマチコ先生」の中で
「ボインタッチ」という素晴らしい単語が登場している。
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1985年あたりから、「巨乳」という言葉が登場、
1993年には「爆乳」という単語が派生し
漢字一文字で乳房の大きさを表現するようになると
「ボイン」は事実上の死語となってしまった。
風俗史研究者の井上章一氏は、従来「○○乳」と言えば
液体の飲み物を指すものだったが
「○乳」と漢字一文字で乳房の形状や
状態を表す熟語になったことは
日本人の言語感覚の転機になったといい得る
としている。
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大きな胸がタブーとされていたアイドル界では
1970年代後半に榊原郁恵が健康的なボインちゃん
ということで解禁され「巨乳アイドルのはしり」とされている。
成人映画やアダルトビデオのタイトルで使用されていた「巨乳」を
一般に定着させたのは、1990年代初頭の
一般芸能人の「かとうれいこ」や「細川ふみえ」が
AVには程遠い少年や、
女性の間で人気を博してからとされている。
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大きな乳房を「ボイン」、
そのような乳房を持つ女性を「ボインちゃん」
と呼ぶことに愛着を持つ男性。
その大きさや形状にかかわらず
女性の乳房を崇拝する自分のことを
「オッパイ星人」と称する昭和生まれの殿方は
少なくないのではないだろうか。
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元祖巨乳タレント、
「ボイン」の朝丘雪路さんが生まれた日のカクテルは
「ブザムカレッサー」にしましょう。
Bosom Caresser Cocktail
Brandy | ブランデー | 40ml |
Orange Curacao | オレンジ・キュラソー | 20ml |
Grenadin Sirop | グレナデンシロップ | 1tsp |
Egg Yolk | 卵黄 | 1個 |
材料をシェークして大きめのカクテルグラスに注ぐ。
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カクテル名は直訳すると「胸を愛撫する人」だが、
この場合は「ひそかな抱擁」といった意味だ。
信じられないかもしれないが
古くから伝わるスタンダードカクテルである。
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私がバーテンダーになる前、
まだ19才の小僧のころ
銀座の婦人靴販売店で働いていた。
そこに朝丘雪路さんが来店したことがあった。
イブサンローランの
皮のパンツをオーダーされた朝丘さんの
股下の長さを私はメジャーで測った。
朝丘さんのかかとのあたりにメジャーを添えると
当然足元に跪く格好になる。
その状態でお客様の朝丘さんの顔を見上げた時
それはあった。
私は、本物の「ボインちゃん」に遭遇したのだ。
「凄かった…」、ボインデビューの鮮烈な記憶である。