7月18日のカクテル 「ブランデーカクテルもどき」

2020年7月18日 土曜日

200px-William_Makepeace_Thackeray[1]

 

 

 

 

 

 

 

7月18日は、ウィリアム・サッカレーが生まれた日(1811年)

スタンリー・キューブリックが映画化した

「バリー・リンドン」の原作者でもあるが

翻訳本はほとんどなく日本では知る人ぞ知るというところだ

19世紀のイギリス社会では実際の階級や年収よりも

上の階級の人間を気取って真似てみたりする人たちを

「スノップ」と呼んでいた

津軽弁では「えふりこぎ」と呼ばれる方達のことだ

この「スノップ」達を痛烈に批判するのが

サッカレーの小説の特徴だ

Houghton_EC85_T3255_848vb_-_Vanity_Fair,_title[1]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところで

バーテンダーやカクテルの歴史に興味のある人にとっては

サッカレーは歴史上重要な作家である

彼の自伝的要素が強い3部作

それぞれ「ペンデニス」、「ニューカムズ」、「フィリップス」がある

1855年に発表された「ニューカムズ」の中に

「大佐、あなたはブランデーカクテルを、お飲みになりますか?」

というセリフが出てくる

これこそが、「カクテル」という言葉が小説に登場した人類最初の出来事なのだ

この時代の上流階級で「カクテル」が飲まれていたことがわかる

正確な資料は発見されていないので

この「ブランデー・カクテル」がどのような飲み物だったのかは想像するしかない

6月11日のカクテルで紹介した

カール・フォン・リンデによる製氷機の発明は1870年代の事

つまりサッカレーが小説を書いたころは

まだ氷が自由に手に入らない時代で

「ブランデーカクテル」は常温のものであったと考えられる

ここで世界最古のカクテルとされている

「サゼラック」のレシピを参考にしたい

1830年代にニューオーリンズで飲まれていたカクテルです

■サゼラック〔sazerac〕
    角砂糖1個と少量の水
    45ml   ライ・ウイスキー(以前はブランデーを使用していた)
    3dash   ペイショーズ(Peychaud's)・ビターズ
    5~15ml  アブサン
    調合方法:ビルド(氷は入らない)
    グラス: オールドファッションド・グラス
    ※ベイショーズ・ビターズの代用にはカンパリを、アブサンには
     ペルノーにシャルトリューズ・ヴェールを加えたもので代用できる

ベースのライ・ウイスキーのところに

(以前はブランデーを使用していた)とある

サゼラックのベースを元々のブランデーに戻したものが

ニューカムズに登場する「ブランデーカクテル」に

近いものだったのではないかと想像はできないでしょうか…

今日のカクテルはサッカレーに因んで

歴史上はじめて小説に登場したカクテル

「ブランデー・カクテル」を

推測で再現した「ブランデー・カクテルもどき」にしましょう

Similar to a Brandy cocktail

Recipe

材料 分量
 Cognac Brandy / コニャック・ブランデー 3/4
 Pernod / ペルノー 1/8
 Chartreuse /  シャリュトリューズ 1/8
 Campari / カンパリ 3dush
 Cube Suger / 角砂糖 1

オールドファッションド・グラスに角砂糖1個と少量の水を入れて砂糖を溶かす

他の材料を注ぎ軽くかき混ぜる

    

サッカレーの言葉が残されている

この浮世は一つの鏡である。

この鏡には皆自分の姿が映る。

だから君が

額に八の字を浮かべて鏡に向かえば、

鏡も八の字を寄せて君を睨み返し、

君が微笑みを浮かべて鏡に対すれば、

鏡も微笑みをもって君に応える。

「ブランデーカクテルもどき」のグラスを傾けながら

鏡の中のおのれの顔を眺めてみようか

額の八の字に気が付いた……