1956年3月15日、
ミュージカル「マイ・フェア・レディ」が
ブロードウェイで初演された。
以降、7年半の長きにわたって上映される
ヒットミュージカルとなった。
この「フェア」という言葉の意味は
日本語でいうところの「公平、公正」ではない。
「口先だけ、うわべだけ」というニュアンスだ。
したがってマイ・フェア・レディの訳は
「私のうわべだけの淑女」が正しい。
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ミュージカルのあらすじ。
ジュリー・アンドリュースが演じる娘は、
粗野で下品で訛りがひどい下町の花売り娘。
この娘を徹底的に教育して「淑女」に仕立て上げ、
社交界にデビューさせようとするのが
言語学教授の主人公の男。
やがて男は娘に恋心をいだく様になるという物語だ。
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原作ではハッピーエンドではないが、
最初の映画化の際に結末が変更され
恋の成就を連想させるエンディングとなった。
以降、ミュージカルでも、
二度目の映画化の際でもハッピーエンドとなっている。
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その二度目の映画化は1964年。
高額の映画化の権利料を回収したい制作側は
娘の役を当時無名のジュリー・アンドリュースから、
人気絶頂のオードリー・ヘプバーンに変更した。
主人公の言語学教授役は舞台と同じ
レックス・ハリソンが演じたので、
舞台とは主演女優だけが変更になったのだ。
本当のところ教授役は
ゲーリー・クーパーにオファーしたそうだ。
しかしゲーリーが、
映画も舞台と同じ俳優が演ずるべきだとして
出演を拒んだいきさつがあった。
結果的にオードリーが
ジュリー・アンドリュースの役を
奪った形になってしまった。
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この年のアカデミー賞で
マイ・フェア・レディは各賞を総なめにした。
ところが、肝心の主演女優賞は
「マイ・フェア・レディ」のオードリーではなく、
「メリー・ポピンズ」に主演した、
ジュリー・アンドリュースとなった。
マイ・フェア・レディの主役にキャスティングされず、
失意のズンドコにいたジュリーを
ディズニーが新作「メリー・ポピンズ」の
主演に大抜擢していたのだ。
映画化の際にオードリーに主役を奪われた形のジュリーに
同情票が集まったという説もあるが、
マイ・フェア・レディのオードリーの歌は吹き替えで、
メリー・ポピンズのジュリーの歌は
本人が歌っていたからという説もある。
本物の歌か、フェア(うわべだけ)の歌かが、
受賞者を左右したのかもしれない。
オードリー・ヘプバーンの口惜しさは相当だった。
感情をあらわに怒りまくる姿が
授賞式の映像に残っているそうだ。
※
今日のカクテルはマイフェアレディにしましょう。
レシピ
ドライジン 45ml
ストロベリ・リキュール 1tsp
オレンジジュース 20ml
レモンジュース 20ml
卵白 1個
以上をシェークしてソーサー型シャンパングラスに注ぐ。
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